急行内。
 めると蓮は二人掛けの前向きの席に座った。お互いトラベルバッグを膝に置いた。
 次の駅でめると蓮は降りた。プラットフォームに出る。そこでめると蓮は普通列車に乗り換えた。
 めると蓮は普通列車の座席に座った。人がまばらだった。向かいに女性のグループが座っていた。女性のグループはめるのことをじっと見ていた。めるはぎくっとなった。
 「ねえ、あの人って、なんかめるちゃんに似てない?」
 と、女性がひそひそ話をしていた。
 「ええ、めるちゃん、あんなださくないよ」
 めるはほっとした。
 「不審者じゃない」
 女性はひそひそ話していた。
 「似てると思ったけどなあ」
 と、女性。
 女性がじっと見てくる。
 「ここなん、電車楽しいね」
 と、蓮。
 「そうだね」
 と、める。
 「ほら。なんかわけのわからない日本語話してるし」
 と、女性。
 「そっかあ」
 と、女性。
 めるはどきどきしていた。女性のグループはぺちゃくちゃしゃっべている。そうしてときどきこちらをみやってくる。そのたびにどきどきした。
 何駅か過ぎると、女性のグループは降りて行った。
 「やっぱ似てた」
 「ほんとお」
 女性はそう話しながら降りて行った。
 めると蓮はほっとした。電車は発進した。人はまばらだった。めると蓮は油断せずにばれないようにした。そうしてようやく祭り最寄り駅についた。めると蓮は降りた。そこは無人駅だった。ちらほら人が降りていた。めると蓮は改札口に行った。そこで、切符を切符入れに入れ、出た。
 蝉がかしましく鳴いていた。空は抜けるように青かった。日が照り付けていた。とても暑かった。めるは汗をとてもかいた。青春の香りがした。めるの肌が美しく光った。
 「暑いね」
 と、める。
 「うん」
 と、蓮。
 蓮があらかじめ、下調べしてくれて、会場を知っていた。
 「じゃあ、行こう」
 と、蓮。
 「うん」
 と、める。