めると蓮は、めったに人が来ないような穴場のビーチへ遊びに行くこととなった。
 まだ海水浴期間でない7月はじめだった。平日。そこは潮干狩りのとこでもなかった。
 二人は朝早くから電車に乗り、バスに乗った。
 その日は良く晴れていた。とても暑かった。めるはとても汗をかいていた。青春の香りがした。めるの肌が汗で美しく輝いていた。めると蓮はアフロヘアのウィッグにハート形のサングラスを付けていた。めるは蓮に買ってもらったピンクのセミクリアフラワーのイヤリングをしていた。左腕にはカシオのBYBY-Gの腕時計。
 蓮は大きいリュックにトラベルバッグを持っていた。めるもトラベルバッグを持っていた。蓮は半袖で、細いが血管が浮き出て、たくましい腕をしていた。蓮は左腕に防水腕時計をしていた。とても黒く焼けていた。足は長くたくましかった。
 バス停留所で降りると、めると蓮は堤防への階段を上った。日が強くさしていた。蓮が道順をあらかじめ調べてくれていた。
 「この堤防を南へ行くと、海水浴場があるはずなんだ」
 と、蓮。蓮は先を歩いた。めるは蓮についていった。誰一人いなかった。焼けるように暑かった。めるはたくさん汗をかいた。
 「あ、あったよ」
 と、蓮。
 なんか磯臭かった。堤防から海への坂が見えた。蓮とめるはそこへ行った。蓮は坂を下った。めるはついていった。浜辺へといった。
 「わあ」と、める。
 誰もいなかった。海は穏やかに打ち寄せていた。
 海の家が一軒あった。
 「野いちご」と看板があった。
 蓮が海の家の前へ行った。めるもいった。
 「ああ」
 と、二人の20代前後の女性がいた。一人は浅黒く痩せていて、一人はふくよかだった。青春の香りがした。二人とも汗をかいていた。肌が美しく輝いていた。
 「木下、というものですが」
 と、蓮。
 「ああ、承ってます」
 蓮と、めるは海の家へ入った。ほかにお客さんはいなかった。
 「お好きな席にどうぞ」
 と、浅黒い女性がいった。
 蓮は適当な席に荷物を置いた。めるも置いた。蓮は財布を出した。
 「休憩代500円になります」
 と、浅黒い女性がいった。蓮は500円玉を出した。
 「ありがとうございます」
 と、浅黒い女性。
 「ええ、あそこに更衣室がありますので」
 と、女性はつづけた。
 「あ、はい」
 と、蓮。
 「あそこにシャワー室がありますが、別途料金いただきますので」
 と、浅黒い女性。
 「ああ、はい」
 と、蓮。
 「ではごゆっくり」
 と、浅黒い女性はいって、店の奥へいった。蓮とめるは席に座って落ち着いた。
 「はあ」
 と、める。
 蓮はリュックをおろし、中をまさぐった。そうして水筒を出した。ふたのコップをはずし、そこにお茶を入れた。そうして飲んだ。それをめるはじっと見つめた。
 「はあ」
 と、蓮は息をついた。蓮はコップにお茶を注いだ。
 「はい」
 といって蓮はコップをめるに渡した。
 「ありがとう」
 めるは、コップを見た。めるは蓮が口を付けたところを覚えていた。めるはそこから飲んだ。冷たいものがのどを通った。めるは赤くなっていた。
 「はい」といってめるはコップを返した。蓮は受け取ると、そこにお茶をそそぎ飲んだ。めるはそれをじっと見つめていた。蓮はめるの飲んだとこに口をつけていた。めるはまた赤くなった。蓮は飲み干すと、コップを水筒にしめた。
 「じゃあ、着替えようか」
 と、蓮。
 「うん」と、める。
 蓮とめるは更衣室へ行った。めるが出ていくと、青いサーフパンツの蓮が待っていた。蓮は上半身裸だった。骨ばったたくましいからだをしていた。ふくらはぎがたくましかった。二人はビーチサンダルをはいていた。めると、蓮は、ビーチへと出た。