連絡先を消した夜、私は再び考えてしまう。





異性との食事やデート、2人きりになる場面を数えるほどの経験をしたことがない私にとって、あんなにも迷いのない、素直で真っすぐに気持ちを伝えてくれた成宮くんのことは、私にとって一生の記憶に残る恋の相手だった。




世間の皆さまは、私なんかよりたくさん恋して愛した経験をしている。



だから、私のこの身勝手な気持ちにも経験のなさすぎる恋の仕方も、きっと素直に応援できなかったと思う。



本当にその通りだ。



でも、やっぱり、私はこのまま。



このままにしかなれない。



成宮くんと気持ちが重なることに恐怖心を抱いていた。



自分の汚さ、醜さ、全て悟られてしまう気がして。




逃げたくなる。





成宮くん。



ありがとう。



本当に、短い期間に楽しい恋をしてもらった。




あの頃の私は本当に変で、自分の醜さに気づいていたのに、気づけば私のことよりも成宮くんが気になって仕方なくて、夢中だったんだ。




優しい笑顔も、頼りがいのある背中も、声も全部忘れることはない。




だけど、私は忘れる努力をします。



恋は、もう、本当にしません。



こんな終わりを迎えるのは、もう、いいんです。



私は恋を捨て、人生を歩む。



それしか、前向きに生きる方法が見つからないのだから。