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「は、はじめまして」
19歳、20歳の大学生に囲まれて委縮する25歳、多分今の時間では世界で私だけですよ皆さん。
もし、くじけそうなことがあっても私のことを思い出してくれれば怖いものなんてちっぽけに思えてきますから。
「な、なんか私場違いじゃない?成宮くん」
「普通に馴染んでるから安心しなよ」
そう言い残し、成宮くんは先頭に向かってそそくさと前に歩いて行ってしまう。
「はあ・・・」
集団の中の一人が私を気にかけ、隣で歩き出す。
「神子谷さんでしたっけ」
「あ、はい」
「俺、ケントです。神子谷さんのことはよく雪から聞いてます」
「えっうそなんか変なこと言ってない?あの子」
「あはは、大丈夫ですよ。神子谷さんのことが好きってことだけしか伝わってきませんし」
「え・・・」
「あれ、うそ、もしかして言ったらまずかったですか?」
「あ、ううん違うの。ただ、私が色々考えすぎて返事ができてないだけ」
「・・・自分に自信ないんじゃどうもこうも進まないですからね」
グサッと心に矢が突き刺さる。
5歳下でもこんなにも時代は変わっているのか、と痛感する痛さであった。
見透かされている。
「か、可愛い顔で結構言うね君~あははすごいや~~」
冷や汗がとまらず、目的地に早く着かないかとそわそわする。
「でもあれ、いいんですか?」
「え?」
ケントくんの指さす方向を見る。
その視界には、成宮くんが楽しそうに笑っている姿が見えるのだ。
「隣の子、あいつ雪のこと好きだから」
「全部話すのね君」
「あ、これも言ったらまずかったのかな」
「いや、いいけど私は・・・」
「最上 汐里って名前です。いずれライバルになる相手かもしれないんで伝えときます」
「あっうん、やっぱり君、喋りすぎかな」
「うわっそうかな、気を付けます」
名前も覚えてしまった。
というか、覚えさせられてしまった。
先ほどと同様、やはり可愛い女の子だということがとてもよく伝わる。
儚くて、綺麗で、白い服が白い肌によく映えている。
成宮くんの腕に引っ付き、成宮くんを離すまいというように隣をキープしているのが伝わる。
好きなんだな。
成宮くんのことが、本当に。