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ハンバーグを見事に綺麗に耐えらげた私たちは、長い沈黙を迎えていた。



き、気まずいとはこういうことか。



いつもよく喋る成宮くんが黙ってしまえば、それはもう地獄ではないか。



ここは、年上の私が。



「あ、の~~、帰る?」



笑って言ったつもりだが、うまく笑えていないことなんか客観視しなくても分かる。



成宮くんは黙ったまま、スマホと睨めっこ中。



5歳も離れると、こんなジェネレーションギャップを感じるものなのか。



それとも私が大人の階段をのぼっているからなのか。



「こ、こら~?聞いてる~?人が話してるんだから、スマホから離れてね~~」



まるで相手は赤ちゃんである。



「ん」



「ん」、じゃないのよ、成宮くん。



「ん」、じゃ言葉になっていないのよ。



「帰ってくださいな」



次ははっきりと伝えた。



そうすると、先ほどまでスマホと睨めっこしていた成宮くんの眉がピクリと動く。



「無理だよ普通に」



「いや、あのさ。わがまま言わないの。明日は休みだけどさ、私にはやることってのがあって。

だからもう一人になりたいんだけど」



「・・・・」



「聞いてる?ねえ」



「やだって言ったら困るよね」



頭に衝撃が走るのだ。



可愛くおねだりする成宮くんに胸がキュッと苦しくなる。




「ずるいよ・・・」



苦しい。



「ごめん、ちょっと甘えすぎた。帰るから安心して」



「・・・分かった」



こんなに好きなのに、素直になれないのが、とても苦しい。



本当は、帰ってほしくなんかない。



でも、ここで帰ってとお願いしなかったら、きっと私の気持ちが、成宮くんにバレてしまう。