「あっはい、かしこまりました。在庫の確認ですね。

確認致しますので、このまま少々お待ちください」




保留を押し、パソコンと睨めっこしている私と、こちらのメモ用紙と何故か睨めっこする成宮くん。


「どうしたの?」



「・・・・・」



少し気になるが、ここは仕事をこなすことが最優先である。


私はもう一度、お客様の対応をはじめるべく、姿勢を正す。



「お客様、大変お待たせいたしました。

在庫ございましたので、このままご注文可能ですが、いかがいたしましょうか?」



メモ用紙にお客様の情報を書こうとした時、成宮くんの手元も同時に動き出した。






【アホ】






アホと書かれた紙に動揺しながらも、私は仕事を淡々と進めていく。


でも、多分私の表情は困っていただろう。


成宮くんとチラリとみるが、目は合わないままだ。



「それでは、発送でき次第、ご連絡いたしますので
よろしくお願いいたします。

お電話ありがとうございました」



「・・・・・」



電話を切り、すぐさま成宮くんを問い詰めようとしたがなんだか【アホ】という文字に

微笑んでしまう私がいた。



「どうしたのこれ」



すると、またペンを持ち直し、何かを書く成宮くん。



「成宮くん?」


「・・・・・」



「次はバカって書くつもり?」


「・・・・」