「ビッ!くりしたぁ...」


・・・・・・・・


「あ、ども」



朝、出勤時刻「9:35」

事務所に入ると、見覚えのない若い男の子がドアのすぐ横に立っていたから

思わず朝とは思えないほどの第一声が事務所内に響き渡ることとなった。


「えーーーーっと...?」


男の子は、高校生か大学生くらいの年齢とみた。

ピアスをつけ、髪はツートンカラーのセンターパート。

いい匂いもしたから、おそらく香水もつけている。

いわゆる、チャラチャラしたような子だ。


「今日からここで働くんすけど」


何だその話し方は...

そう思ったが、社会人経験がないのだからここは華麗にスルー。


「そうなのね、じゃあ課長が来るまでここで座って待っててもいいよ」


「ああ、はい」


なんだろうか。この子。

見た目はチャラいけど、なんかおとなしい。

マスクも当然してないし、なにより瞳が綺麗。

なんだか掴めない。



「あの...」

男の子が私の顔を覗き込むように見つめた。


「な、なんでしょう」


「いや、えーーーと」


「あ、名前?

わたし、神子谷です」


「どもっす...

俺は成宮っていいます」


きっと私、この子と仲良くやっていくことはないのだろうなと確信した。