「ごめん、昨日の記憶あれからなくて・・・」


「そう・・・か」


「ほんと、ほんとごめんね!じゃあ、えーーと、また来週!」


そう言い残し、私がすぐさま成宮くんの家を飛びだす。






-----------------昨晩



「ええ、ちょっと待てって、待って!神子谷さん!」


成宮くんが半笑いでビール片手の危険な私に近寄るのが見えた。


みんなみんな、私のこの根性にビビればいいのに。


「コールよ!コール!!ほら課長!!!」


コールなんてもの強要したりしてはいけないのに、今の私にはこれぐらい暴れてしまう方が気持ちがよかったんだ。


自分が気持ちよくなるために強要してる私が惨めでもあったが、客観視している余裕などなく、
細野主任と課長を睨みつける。


「イッキ!イッキ!イッキ!」と、周りが私を盛り上げる。


もちろん課長も驚いてはいたみたいだが、こういうのが大好物なのは分かっていた。


細野主任は笑っているかとか、そんなことの前に、その場にいなかったと思う。


楽しくない。


楽しくなんかない。


だけど、無理にこうでもしないと、私はこの会社を辞めることができないと分かったのだ。


もうやめてしまえばいい。


来週、退職願もって出勤すればいい。


もう、怖いもの知らずだ。


コールにあわせて私はビールを一気飲みした。


ここからの私の記憶は曖昧だった。



なので、皆様にはあいまいな私の記憶とともに防犯カメラの監視をしてるつもりで読んでください。



「ん~~~成宮く~~~ん」


「僕?」


「僕って成宮くん、可愛い一人称使えるのね~」


「やばいよ、神子谷さん」


「成宮、お前神子谷さんと家近いって課長が言ってんだ。連れてってやってくれないか」


「細野主任、俺そのつもりでしたんで」


「ああ、頼もしいのな」


「んーーーー、成宮きゅんっ!私家行かん!!細野主任は帰れ!!」


「相当お酒に飲まれたわな、これは成宮に任せて俺は帰るよ」


「帰れ帰れっつーの!!!」