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「もぉ~今日は飲みなしゃいっ!!!!」



もうすでに出来上がっている熊井さんの言葉に、私は慰められた気分に浸る。



「そうですよ、神子谷さん」



「はい、2人とも、ほんとにありがとうございます」



「で?」



「え?」



間の悪い私に、2人とも呆れた顔をする。



「いーや、だから!!
どっちが好きなんだいってことよ~~」


「ちょっと熊井さん、もっとオブラートに」


「ええ?」


「オ!ブ!ラ!ート!!!!」


「ああ、いいじゃない。ね、神子谷ちゃん」



「えっあ、まあ・・・」



「で、どうなの?」



これは、逃れられない空気だ。



馬鹿な私にでも分かる。



どうなの?というのは、成宮くんと細野主任のことで間違いない。



だけど、それを口に出せば嫌なことが頭の中で引き出されて、また嫌な自分になってしまいそうで蓋をしめたくなる。



話を逸らすために話題を考えるにも、話題はひとつしか見つからず、重たく口を動かす。



「あの、2人とも、私が面接行かなかったの、怒ってないんですか?」



「怒ってるわよ」



「だから熊井さん、オブラート!!!」



「でも、終わったことにグチグチ言ってられないじゃない。
あなたが決めたことに私たちがとやかく言えやしないわ。
過去はすべて間違いなかったって思えばいいじゃないの?」



「熊井さん・・・」



いつものように熊井さんの言葉に助けられ、心が浄化されていく。



だけど私にはまだ心の中の黒い部分が渦を巻いて消えやしない。