「いつまでいるの?」



食卓に並ぶお寿司を前に、母が私に問うのだ。



「んーーー、明日には帰るよ」



「ええ?早くなぁい?ねえ、パパ」



「ああ、せっかく来たんだ、ゆっくりしてけ」



一度持った箸を置き、2人に変に緊張感を持たせてしまう。



「今度ね、っていうか、明後日なんだけど、花火大会があって。東京で。
決めたの。今、決めた。
行こうと思って。もちろん人を誘って。
その・・・・人っていうのは、あの」



言葉を考えずに話すから、なんだか伝えたいことが言えない。



それでも、母も父もそれに対して何も言わずに頷く。




「分かったわ。
でも、何かあるなら遠慮なく帰ってきなさい。
電話もしなさい。
仕送り、足りないなら言いなさい。
もっと、甘えなさい。
感謝してるのよ、くらげには本当に」




「ありがとうお母さん」




「頑張れよ・・・」




小さく呟く父に、私は思わず微笑んでしまうのだ。



さっき母に暴露された話を思い出して、また笑ってしまう。



その姿に父が「なんだよ」と言って、私の大好物のサーモンを意地悪く取るのだ。




「ありがとう、ほんとに」



家族で食卓を囲み、微笑みあうこの時間が、私の背中を大きく叩いて力を与えてくれているということに気づく。



自信はない。



だけど、自信がない人間なんてこの世にごまんといる。




そう教えてくれた母の教えが私の人生にどう影響するのか、知ったこっちゃない。



でも、分かる。



あの母の娘ですもの。



きっと素敵な人に巡り合えるわ。