閉じられた切れ長の瞳から、大きな一粒の涙がこぼれ落ちた。

その涙が朝日に反射して、きらりと光る。


──きれいだなあ。


わたしは濡れた彼の頬を優しく拭った。

パシッとその手を掴まれる。


「ん、……」


苦しそうだった彼の表情が次第に柔らかいものへと変わっていく。


わたしの手を頬の位置まで持って行き、安心したような顔で眠っていた。

……わたしの手、まるでこの人の枕みたい。


一時間が経過して、わたしは隣の男に起こされて目を覚ました。


「……、手、なんで」

「……ああ、えっと」


お互い寝ぼけた頭で会話をしてるから、一向に話が進行しない。


「あなたが、掴んできたんです」


本当のことを言うのはなんとなく気まずかったけど、他に思いつく言葉もないから正直に言った。