振り向いた男子に、私は目を大きく見開いた。

「……海渡。」

その目、鼻、唇、スタイル、どれをとっても、海渡に似ている。

違う点と言えば、着ているステージ衣装ではなく、制服というだけ。


「まさか、会えるだなんて……」

これは現実?

まさか、夢?私は堂々と、白昼夢を見ているの?


だがその男子は、そんな私に冷たい一言を放った。

「んなわけないだろ。現実を見ろよ。」

「……えっ?」

私は目が点になった。

「なに、俺の事知らないの?海渡って誰?」

「あなたこそ、海渡を知らないんですか!」

私は急いでポケットから、ゲームを取り出した。

「この人です!橘海渡!ドキアイのキャラです!」

私が見せた画面を見たその人は、ムスッと機嫌悪そうな顔をした。

「なんだ。ゲームのキャラクターか。」

「はあ?」

そしてその人は、ケラケラ笑いながら、行ってしまった。