「へぇ夢鬼ごっこねぇ」

私が桐ヶ谷くんに、この話をすると、興味深そうに聞いていた。

「そうだ、前に幽霊屋敷に行った時に、これをもらったの」

私はポケットから、あの女性の霊からもらった網に羽が付いたものを取り出した。

「これ、ドリームキャッチャーだね」

「ドリームキャッチャー?」

首を傾げている私に、桐ヶ谷くんが説明してくれた。

「ドリームキャッチャーって言うのは、外国では魔除けとして使われることが多い。あと、悪い夢を捕まえてくれるんだ」

「そうなんだ」

私はドリームキャッチャーを見つめた。

「話は戻るけど、その夢鬼ごっこはなんで話題になってるの?」


「未来ちゃんが言うには、後輩の女の子から聞いたみたい」

部活が一緒で、友達が夢鬼ごっこに誘われたと言っていた。

夢鬼ごっこも、後輩の子が、友達から教えてもらっただけで、詳しくは知らないらしい。

「こっくりさんもそうだけど、その夢鬼ごっこもかなり危険なあそびだよ。なんでうちの学校の七不思議の女の子が出て来るのかはわからないけど」

「どうして危険なの?」

「こっくりさんは一種の降霊術で、面白半分でやったり、ルールを守らなかったりすると、呪われるんだ。話に出てきた女の子も、ルールを守らなかったから、亡くなったんだと思うよ」

でも、ただそれだけなら、どうして夢鬼ごっこに出てくるのだろうか。

「ところで何書いてるの?」

大きな模造紙に何か書いている。

「これは夏に出す特集号で、怪談特集を組んだから、俺が担当してるんだよ」

確かに、適任だ。

「今回は、七不思議について書こうと思ってるから、取材、手伝ってくれない?」

私は正直、気が進まなかった。

しかし、いつも相談に乗ってもらっている手前、断りづらかった。

「いいよ。手伝う」

「ありがとう」

学校の七不思議を一緒に調べることになった。

だが、

「え?しばらく学校に来てない?」

「うん。だから部活にもきてなくて、心配で…」

もしかして、夢鬼ごっこをやったのだろうか?

私は急いで、桐ヶ谷くんに伝えた。

「まずいな…ほんとに夢鬼ごっこをやっていたら、鬼から逃げ切ることができるまで目覚めることができないんだ」

桐ヶ谷くんが言うには、十三日以内に目覚めることができなければ、永遠に夢の中に閉じ込められてしまうと言われているようだ。

「もう少し詳しく調べてみよう」

パソコン室に向かった。

「夢鬼ごっこ…本当のルールは、夢の中で鬼から逃げて、その鬼を捕まえることができれば、夢から覚めることができるそうだ。でも最近、色々なことがネットに書き込まれているせいで、どれが本当かわからなかった。この学校に伝わっている夢鬼ごっこのルールは、俺が説明したので合ってるはずだけど」

「あの、先輩たち、夢鬼ごっこについて調べているんですか?だったらお願いします!私の友達を助けてください!」