「あと少しだ、行こう」

五つ目は、階段を上っていると後ろから何かが追いかけて来るというものだった。

「ここだね。上ってみよう」

桐ヶ谷くんのあとに続いて階段を登った。

すると、後ろに気配を感じた。

恐る恐る振り返ると、黒い影の塊のようなものが這い上がってきていたのだ。

「桐ヶ谷くん!」

私が叫ぶと、桐ヶ谷くんは、後ろを振り返り、黒い塊に向かって、お札を投げつけた。

白く光ったそれは、跡形もなく消えた。

「次は六つ目の屋上の亡霊だ。この階段を登ればすぐだから」

階段を登って、屋上についた。

屋上には、一人の女性がいた。

「どうして…どうして私を裏切ったの?」

女性はブツブツと何か呟いていた。

私が近づこうとしたら、桐ヶ谷くんに肩を掴まれた。

行くなということらしい。

桐ヶ谷くんは、女性に気づかれないようにお札を投げた。

女性は、白い光に包まれて消えて行った。

「これで、六つ目の七不思議を解明できた。あとは、あいつだけだ」

私たちは、三年四組の教室に向かった。


「すごいね。こんな短時間で解明するなんて」

瀬奈ちゃんは、関心したように手を叩いた。

「最後はお前だ。太田瀬奈。お前に掛かった呪いを解く」

呪いを解く?

「どういうこと?」

「成海さん、この子は元々、呪いを解いてほしくてこんなことをしてたんだ。そして、学校に夢鬼ごっこの噂を広めて、俺たちをおびき出した。そうだろう」

桐ヶ谷くんが瀬奈ちゃんに向かって言った。

「そうだよ。よく気付いたね。本当は男の子一人でもいいと思ったんだけど、その女の子が一緒じゃないと、夢鬼ごっこの世界に連れてこられないと思った。だから学校の生徒たちを使って、おびきだしたの」

「成海さん、俺はさっき君は、悪いものを引き寄せやすい体質だと言ったよね?それは力の弱い霊も成海さんの力に影響を受けて、力を増すことがあるんだ」

え?それじゃあ、私は…

「お願い。私の力も長く持たないの。早くしないとみんなここから出られなくなっちゃう」

すがるように、瀬奈ちゃんが言った。

「わかった。呪いを解く」

桐ヶ谷くんは、数珠とお札を取り出して何か唱え始めた。

「悪しき呪いに縛られたものを解き放ちたまえ…滅!!」

パァッと瀬奈ちゃんの体が光った。

「ああ、やっと解放された…ありがとう」

穏やかな表情で瀬奈ちゃんは、光の粒になって消えていった。

「成海さん!ドリームキャッチャーを宙に投げて!」

「え?わ、わかった!」

私は持っていたドリームキャッチャーを宙に投げた。

すると、ドリームキャッチャーが空を包んだ。