遠距離花火

恋愛(ピュア)

テスト/著
遠距離花火
作品番号
1728629
最終更新
2024/07/06
総文字数
2,495
ページ数
1ページ
ステータス
完結
PV数
54
いいね数
0
蝉の声が執拗に耳を刺す八月の午後、私は鏡の前に立っていた。髪をセットし、シャツのボタンを留める自分の姿が映っている。その仕草には、どこか儀式めいた緊張感が漂っているのを感じる。鏡に映る自分は、二十二歳。大学四年生の夏。そして、恋をする男の顔だった。

私が向かったのは、富山湾を見下ろす小高い丘の上にある神社だった。石段を一段一段上り、息を整えた。汗が背中を伝うのを感じる。頬は紅潮し、鼓動は高鳴る。それは単に坂道を上った疲れだけではない。これから会う綾香への想いが、私の全身を熱くしていた。

鳥居をくぐり、境内に足を踏み入れる。夕暮れ時の神社は、不思議な静けさに包まれていた。風に揺れる木々の葉擦れの音、遠くで鳴く鳥の声。そして、風鈴のかすかな音色。
そこに、綾香の姿があった。

綾香は、赤い鳥居に寄りかかるように立っていた。白いワンピース姿の綾香は、まるで絵画の中から抜け出してきたかのように美しい。夕日に照らされた綾香の横顔に、私は息を呑んだ、、、、
あらすじ
就職活動中の大学四年生の夏、主人公は富山でインターンシップに参加し、地元の大学生・綾香と出会う。二人はすぐに意気投合し、恋に落ちるが、私は二人の関係が長くは続かないことを悟っていた。物語は、神社での再会シーンで幕を開ける。

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