(どうりでドーナから渡された結婚式の招待客リストが驚くほど少なかったわけだわ)
本来であれば王位継承第二位とはいえ、一国の王子の結婚式となれば民も含め数千人が王宮に駆けつけるのが通例だが、今日の結婚式は主にルーカスが率いている部隊に所属している兵士と私たち家族、そして王族が数名参加するだけの小規模な結婚式となっている。
(国王はご病気のため欠席だけど、代わりに王妃様とセオドア王太子殿下が参列してくださるのが救いね……)
私は雲一つなく晴れ渡った青空に視線を移した。青く澄み渡った空を見れば、やっぱり初恋の君である、碧い瞳の男の子を思い出す。
「もう一度だけ会って……お礼が言いたかったな」
しかしそれはもう叶うことはないだろう。
自分は今から──悪魔王子の妻となるのだから。
目の前の豪華で重厚な扉がゆっくりと開かれ、拍手の音が聞こえてくる。
私は王宮楽団の心地よい音色と共に一歩ずつ歩き出す。
歩くたびに、心臓がひとつまたひとつと大きな音を立てていく。私は何度も俯きそうになる顔を無理やり上げて、最前列で待っているルーカスの前に立った。
(相変わらず怖い顔をしてるわ……)
ルーカスは銀色のタキシードの身を包み胸には百合の花を挿している。
そしてすぐに讃美歌が流れ始めれば、隣から鋭い視線が突き刺さる。
(あれ?)
(ん? 何?)
はじめは気のせいかと思って気付かぬフリをしていたが隣からの視線というか殺気がずっとこちらを向いている気がしてならない。
私が思い切って真横を見上げれば、すぐにルーカスの瞳と目が合った。
ルーカスは眉間に眉を寄せたまま、瞳を逸らすことなく私をじっと見つめている。
「あの……何か?」
私は讃美歌の曲が終わらないうちに小声でルーカスにそう話しかけた。
本来であれば王位継承第二位とはいえ、一国の王子の結婚式となれば民も含め数千人が王宮に駆けつけるのが通例だが、今日の結婚式は主にルーカスが率いている部隊に所属している兵士と私たち家族、そして王族が数名参加するだけの小規模な結婚式となっている。
(国王はご病気のため欠席だけど、代わりに王妃様とセオドア王太子殿下が参列してくださるのが救いね……)
私は雲一つなく晴れ渡った青空に視線を移した。青く澄み渡った空を見れば、やっぱり初恋の君である、碧い瞳の男の子を思い出す。
「もう一度だけ会って……お礼が言いたかったな」
しかしそれはもう叶うことはないだろう。
自分は今から──悪魔王子の妻となるのだから。
目の前の豪華で重厚な扉がゆっくりと開かれ、拍手の音が聞こえてくる。
私は王宮楽団の心地よい音色と共に一歩ずつ歩き出す。
歩くたびに、心臓がひとつまたひとつと大きな音を立てていく。私は何度も俯きそうになる顔を無理やり上げて、最前列で待っているルーカスの前に立った。
(相変わらず怖い顔をしてるわ……)
ルーカスは銀色のタキシードの身を包み胸には百合の花を挿している。
そしてすぐに讃美歌が流れ始めれば、隣から鋭い視線が突き刺さる。
(あれ?)
(ん? 何?)
はじめは気のせいかと思って気付かぬフリをしていたが隣からの視線というか殺気がずっとこちらを向いている気がしてならない。
私が思い切って真横を見上げれば、すぐにルーカスの瞳と目が合った。
ルーカスは眉間に眉を寄せたまま、瞳を逸らすことなく私をじっと見つめている。
「あの……何か?」
私は讃美歌の曲が終わらないうちに小声でルーカスにそう話しかけた。