車から降ろされ、家の中へ連れ込まれる。シンプルな家具で統一されたリビングのソファに私は座らされた。その隣に秀一が座り、私の腰に腕を回して逃げ道を奪う。

「秀一、いきなりどうしたの?いきなり連れて来られても困るんだけど」

「お前がフラフラとどこかへ行くのが悪いんだ。外は危険なことでいっぱいなんだぞ」

秀一に手を掴まれる。振り解きたくてもそれは敵わない。私はまたいつもの束縛かと内心ため息を吐きつつ、口を開く。

「秀一、そんなに心配しなくてもいいよ。海外に行く時は大通りしか通らないようにしているし、地下鉄に乗ったことも、夜に外出したこともないよ。危ない目に遭ったことなんて一回もないんだから」

「だからといってこれからずっと安全に旅ができるかは保証できないだろう?ずっと家にいた方が安全だ」

決めつけられ、私の心に怒りが生まれる。何で秀一にここまで言われなくちゃいけないのか。旅行は私の趣味だ。その楽しみを奪われたくない。

「秀一、私は旅行が好きなんだ。それをわかってくれないなら、もう一緒にいることはできないね」