「な、何なのこの格好……」

周りを見ると、ロココ調と言うんだろうか、豪華で可愛らしい調度品が広々として部屋に並んでいる。お姫様になった気分だ。でも「嬉しい」という気持ちは全くない。

ベッドから降りる。目の前に大きなドアが見えた。出入り口のドアだろう。重いドレスのスカートを持ち上げ、ドアの前まで向かう。ドアノブに手を掛けた。でも外から鍵が掛かっているようでドアは開く気配がない。

「誰か!誰か助けてください!」

パニックになって叫びながらドアを叩く。するとドアがゆっくりと開いた。その開いたドアの向こうに見えた顔に驚く。芹沢さんだった。

「ああ、目が覚めたんだね。おはよう」

「せ、芹沢さん!これは一体……芹沢さんがやったんですか!?」

芹沢さんは落ち着いた様子で私を見て微笑んでいる。そして混乱する私の手を取って言った。

「三雲さんはここで私の癒しになってください。私はあなたを世界で一番愛しています。その愛を受け取ってほしい」

「む、無理です!大体芹沢さんには婚約者さんがいるじゃないですか!こんなことしてる場合じゃないでしょう!?」