律さんはそう言ったものの、怖くて後ずさる足を止めることはできない。やがて足はベッドにぶつかって、私はベッドに倒れてしまう。すると律さんが私に覆い被さってきた。思わず悲鳴を上げてしまう。

「や、やめてください!嫌!」

両手を使って抵抗したものの、あっさり律さんに捕えられてベッドに縫い付けられる。そして律さんは私の脈拍などを測り始めた。

「おやおや、心拍数が上昇していますね。呼吸も荒いですし……。大丈夫ですか?」

律さんが訊いてきたけど、私は何も答えられなかった。ただ律さんから顔を逸らして目が合わないようにする。怖くて体が震え始めた。

「寒いですか?こんなに震えて可哀想に……」

強く抱き締められた。温もりが伝わってくる。でも体の震えは止まらない。この人が私をここに閉じ込めている。安心なんてできない。

「な、何が目的ですか?私の家はお金そんなにありません!」

私の実家は普通のサラリーマンだ。お金なんてない。必死にそう言うと、律さんはクスクスと楽しそうに笑った。