「僕、彩葉のためなら何でも買ってあげたいんだ。好きな人に自分の買ったものを身に付けてほしいの。他の男から彩葉を守るためにもね。それがどうしてわかんないの?それとも他に好きな男ができた?」

早口で淡々と捲し立てられ、掴まれた手がどんどん冷たくなっていく。怖い。こんな朝日を私は知らない。目の前にいるのは本当に朝日なの?

「このルビーのネックレス、気に入らなかった?」

私の首に朝日は触れた。その指がネックレスのつけられた首にゆっくりと力が込められていく。首が絞まっていくのを感じて、私は慌てて言った。

「とってもこのネックレス素敵だよ!本当にありがとう!」

笑顔も作って言う。すると朝日はにっこりと笑った。凍り付いた空気が解けていく。私はホッとしてその場に崩れ落ちそうになった。

「帰ろう。ご飯も食べて帰ろっか」

「うん……」

ネックレスは首輪。私を朝日の元へ縛り付ける首輪なのだろう。