全てが白の世界に閉じ込められ、家族や友達と会うこともできず、関わるのは風雅ただ一人。ほしいものは言えば与えられるものの、自由は永遠に手に入れることはできない。

「はい。できた」

その声に我にかえる。風雅が鏡を持ってきて、「じゃ〜ん」と言いながら私を映した。ラフなハーフアップのお団子になっている。豪華なドレスには不似合いな気がするけど、風雅は満足そうなので黙っておく。

「紗夜は本当に可愛いね。今度、新しいドレスを買ってくるよ」

「また白いドレスでしょ。白しか買ってこないんだから、別にいらないよ」

私がそう言うと、風雅は「紗夜には白しか着てほしくないんだ」と笑い、私の頰にキスを落とす。ゾワリと鳥肌が立ちながらも、白しか着てほしくないという言葉の意味に興味を持ち、聞き返した。

「白しか着てほしくないってどういうこと?」

「僕ね、雪が好きなんだ。雪って真っ白で綺麗でしょ?この世界の穢れを何も知らない綺麗な色だ」