「飛鳥くん……」

寝室に来た飛鳥くんは、私の持っているスマホをジッと見ている。そして「何かあった?」と訊ねた。それに対して私はーーー「何でもない」と返す。

どういうことなのか問いただすのが普通なのだろう。でもこの心はそれを嫌がっている。このまま何も知らないふりをして、ただ二人で幸せに生きていたい。飛鳥くんだけが私の味方だった。あの会社で働けなくていい。会社が私を追い出したんだから。

私は飛鳥くんから離れたくない。否、離れられない。

「飛鳥くん。大好き」

スマホをテーブルの上に置き、私は飛鳥くんに抱き付いた。