私がそう言うと、智樹の顔から一瞬にして表情が消える。観覧車内は沈黙に包まれた。気まずい空気が流れる。でも、これでいい。

「……観覧車乗り終わったら、私はもう帰る。それでもう終わりだからーーー」

智樹に本当の別れの言葉を告げていた私は、彼が無言で取り出したものを見て目を見開く。智樹は小包のようなものを取り出していた。何?プレゼントにしては綺麗なラッピングなどはされてない。

「それ、何?」

震える声で訊ねる。嫌な予感が募る中、智樹がギラギラとした目をしながら言った。

「僕の手作りの爆弾だよ。僕が工学部で学んでいるの忘れちゃった?爆弾くらい簡単に作れるよ」

「そ、それをどうするつもり?」

「ここで一緒に死のう。紬が僕以外の男のものになるなんて耐えられない!」

智樹が爆弾を起動させようとする。慌てて私は嘘を口にした。死にたくない。別れるのはやめよう。愛してる。でも智樹は乾いた笑いを溢すだけだった。

「嘘吐き」

目の前が白く激しく光った。