「降ろすよ?」

「あ、うん」

彼の腕の中から離れる。…寂しいと思ってしまった私は、やっぱりそうなのかもしれない。

この気持ち、どうしたらいいのかな。って考えてたら、急に視界が明るくなった。

花火が打ち上がったのだ。考え事も一瞬で吹き飛ぶほど……本当に綺麗。

「ねぇねぇ、やっぱ、近くで生で見るのがいいよね!私、ほとんどテレビとか遠くからしか見てなかったから」

「そうだな。…咲希と見れたことも嬉しい」

……ん?聞き間違いかな?さ、流石に不意打ちは厳しいって!さっきからドキドキが止まんない…

彼の横顔を盗み見ると、花火のせいだろうけど、頬が赤かった。

今、圭佑は何を考えているんだろう。ドキドキしてるのかな?私だけだったら嫌だ。

そう思って、勇気を出して手を繋いだ。

「は、はぁ?!ちょ、手!」

圭佑から手を繋ぐ時は平然としているのに、私からしたらこんなに動揺するなんて、かわいいな。

絶対に離してあげないもんね!この顔もずっと覚えておくんだー。

「ねぇ、今の気持ちは?」

「な、何言って……」

あ、視線を逸らされた。答えてくれないの?酷いやつだなぁ。なんて思ってたら、さらに大きな花火が打ち上がった。

小さい花火も可愛いけど、やっぱ大きい方が迫力がすごい。