思わず、圭佑の首に腕をまわした。それに驚いたのか、彼の頬は一瞬だったけど赤くなった。
「……私、重いよね」
「重くないし」
そんな即答します?普通。重くないなら良かったけど。
それにしても、なれるとだんだん怖く無くなってきた。そこで、ふと、ある名案を思いついた。
「圭佑」
そう、私が圭佑の耳元で囁くと、彼はビクッと肩を震わせた。やばい、笑いを堪えるのに必死だ。
ここで笑ったら私がからかったことバレちゃう。って頑張って耐えていたけど、もう、我慢の限界だった。
「っぷ、あはっはははは!」
急に笑い出した私に、圭佑は戸惑っていたようだった。でも、すぐに何で私が笑ったのかに気づいたらしく、彼は怒った。
「おい、今すぐにでも崖に放り投げるぞ」
「ごめん。じゃ、罰として私降りるよ」
でも、やっぱ、彼はなんだかんだ言って優しい。降りようとした私に「別に降りなくてもいい」と言ってくれた。
少し、照れているようにも見えた。…そんな彼のことを、圭佑のことを私はどう思っているんだろう。
「もうすぐ着くよ」
その言葉を合図に、私たちの視界が開けた。思わず、その景色に見惚れてしまう。
ここで、二人きりで花火を見るんだと思うと、少し緊張してしまう。
こんなシュチュエーション、ずるい。ずるすぎる!
意識しない方がむずいって……。