「…何ニヤニヤしてんの?もうすぐ花火が上がるんだって。少し高いとこに行こ」

一瞬だけからかった圭佑は、すぐにクールに戻って私を導いてくれる。

小さい時は私の方が身長が高かったのに、いつの間にか二十センチ近くも差がある。

私の方が低いのって、なんかやだなぁ。

……手を繋いでいる今でさえ、少し背伸びしてしまう。少しでも高くなるように、私は意地を張る。

「…背伸びしてるっぽいけど、それじゃあ歩きにくくね?」

「いいのっ、こんなに身長差があるのが何だか憎いんだもん」

…そういった拍子に、私は小石につまずいて転んでしまった。……転びかけた。

ギリギリ圭佑が支えてくれたおかげで、何とか転ばずに済んだ。

「まだ私服の時ならいいけどさ、浴衣着てる今は普通に歩いたほうがいい。俺も歩きにくいから」

…全く可愛くないなぁ。ありがとうっていうタイミング逃しちゃったじゃん。

って思ってたら、なぜか体が宙に浮いた。

「えっ?ちょ、ちょっと!」

「うるさいな。浴衣だから持ちにくいんだよ。暴れんなよ?」

わわわわわわわわわわわ!こ、これってお姫様抱っこ、だよね……

てか、落ちそうで怖い!私、高いとこ無理なんだって。しかも、不意打ちとか、一番心臓に悪いやつ……