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 これで……よかったんだよね。

 うん、よかったんだ。

 ちゃんと伝えるべきことは伝えたし。

 だって、このままじゃ、わたしはいつまで経っても次の恋に進めなかったから。

 ヒロ兄に恋をしていた数年間、とっても楽しかった。

 けど、それも今日でおしまい。


 その後、ぼーっと花火を見ているのか見ていないのか。

 気づいたら、いつの間にか終わってしまっていたから、きっと全然見ていなかったんじゃないかな。


「ヒロ兄、そろそろ帰……って、えぇっ、いつから隼人⁉」

 ヒロ兄がいるとばかり思っていたわたしの隣には、体育座りした隼人がいて。

 ヒロ兄の姿は、なくなっていた。

「ちぃが焦点の定まらない目でぼーっとしてるから悪いんだよ」

 隼人が、むすっとした顔を膝の上に組んだ腕にうずめる。

「ヒロ兄は、先帰った。っつーか、俺が帰らせた。恨むなら、俺を恨め」

「……ううん、大丈夫。言いたいことは、もう言ったから」

「あ、そ。ってことは……告ったんだ。ヒロ兄に」

 隼人が、低い声で言う。