「あのさ、ヒロ兄。わたしね、ずっとヒロ兄のことが好き——」
 ドーーーーン! ドドーーーーン!! パラパラパラパラ……。

 一発目の花火が上がると、わっと周囲で歓声が上がり、わたしのか細い声はあっけなくかき消された。

「ごめん。なんて言ったの、千紘ちゃん?」

 ヒロ兄が、わたしの口元に耳を寄せる。


 ち、近い……!


 ……でも、きっとわたしのことなんか、女として全然意識してないからこそ、こんなこともできるんだろうな。

 だって、ヒロ兄は大人で、わたしはまだまだ子どもだから。

 けど、ちゃんと今日伝えようって、来たんだから。

 最初で最後のチャンスなんだから。

「ヒロ兄、あのね——」