その後、焼きそばとたこ焼きと、それから飲み物を買って。

 ヒロ兄が全部買ってくれようとしていたんだけど、「これだけはわたしが買うから!」っていって、飲み物だけはわたしが二人分買った。

 腹ごしらえ用にいろいろ買い込んだわたしたちは、打ち上げ花火鑑賞の場所取りのために、早めに河原に移動した。


「はぁー、気持ちいい風」

 人いきれでむっとしていた境内とは違い、川の上を吹く風が、涼を運んでくる。

「千紘ちゃん、ここ座って」

 気づいたら、ヒロ兄が河原にハンカチを広げてくれていた。

「え……ヒロ兄のハンカチ、汚れちゃうよ⁉」

「でも、そのまま座ったら、千紘ちゃんの浴衣が汚れちゃうから。ほら、座って早く食べよ」

「う、うん……」


 まるでお姫様みたいに大切に扱ってくれる。

 本当に、ヒロ兄は優しいんだから。

 本当は、わたしがなんでヒロ兄を呼び出したのか、見当はついてるんでしょ?

 でも、あえて自分からは話題にしないでくれているだけなんでしょ?