気づいたら、涙はすっかり止まっていて、ちらりと隼人の方を見ると、わたしのことをじっと見つめる隼人と目が合った。

「なっ……なんでこっち見てるの⁉」

「知りたい?」

 ニヤリと隼人が笑う。

「べっ……別に、知りたくないっ」

 ドッドッドッドッと心臓の鼓動が速くなり、ぷいっと隼人から目を逸らす。

「あ、そうだ。俺、いいもん持ってきたんだった」

 そう言いながら、隼人がボディバッグからなにかを取り出す。

「え、線香花火? 今、花火見たとこなんだけど」

「それは、ヒロ兄とだろ?」

「そう、だけど……」

「だからこれは、俺とちぃの思い出作り」

 隼人の言葉に、トクンと小さく心臓が反応する。

「な、なんで突然ヒロ兄と張り合うの?」

「別に……ヒロ兄とは、ずっと張り合ってるよ。ちぃと出会ってから、ずっと。……ま、俺が一方的に、だけどな」

「え、ちょ、なに言って……」

 待ってよ。そんなの……。

 なんだか頭がぐるぐるしてきた。

「ほらっ。遅くなると、ちぃんとこの親が心配するだろ。さっさとやるぞ」

 隼人が、線香花火をぐいっと押しつけてくる。