ドーナツの包装紙を、ポイと床に投げ捨てる。荒々しい飛鷹さんにビクついて「ゴミ箱に捨ててください」とは言えなかった。

怒ってる?
そんなの知るかって言われる?

何を言われてもいいよう心の準備をしていると、意外にも飛鷹さんは口角を上げた。そしてヤレヤレと、


「こんな時までアイツのことかよ?健気だね~」


いかにもバカにした笑み。

「放っておいてください」と言い返そうとしたら、なんとなんと。次に飛鷹さんが見せたのは、私を包み込むような優しい笑み。


「なぁ」


手についていた拘束具をクルクル回しながら、飛鷹さんが私に近づく。


「やっぱアンタ、俺のこと好きになれよ」

「……へ?」