訝しむ私をさしおいて、マイペースな飛鷹さんは、またもや私をおちょくる。


「なーミミちゃん。どうせなら俺がキスの指導してやろうか?俺はうまいぜ?キスだけで女は立っていられ、」

「たくさんお話を聞いて下さりありがとうございました。少しだけスッキリしました」

「……スルーかよ」


軽い発言が目立つ飛鷹さん。でも飛鷹さんの「なんでも話せ」という言葉は、正直とても有り難かった。

話すべきじゃないと分かってはいたけど、結局のところ飛鷹さんに話しちゃったし。胸の内も多少スッキリしている。


ちなみに何を話したかというと、全てという全て。

二人の出会いから、この家に住みついた経緯。キスを下手と言われること。いくら冷たくされても好きで、愛おしかったこと――


絶対に興味ない話なのに、飛鷹さんは「ふーん」やら「へー」やら相槌を打ってくれた。さりげない優しさが胸に沁みる。


(だけど、もう終わりだ)


30分の制限時間も、残り5分。