「だいたいお前、よく恥ずかしげもなく赤裸々に話せるよな」

「赤裸々に？」

「キースー、とーかー。身内の色恋とか聞きたくねぇから、余計にゾッとしたわ」

「何でも話せって言ったくせに……ん？」


ピタリと思考が止まる。脳内では、飛鷹さんの言葉がリフレインしていた。そして浮かぶ、一つの疑問。


「ねぇ飛鷹さん。〝身内〟って誰のことですか？」

「あ？」

「さっき〝身内の色恋〟って言ったじゃないですか」

「……」


さっきまで歪んでいた顔はスッと戻り、「ミミちゃん」と。真顔に戻った飛鷹さんは、なぜか憂いの瞳で私を見つめる。


「俺とミミちゃん、一つ屋根の下に住んでんだぞ？これってもう身内だろ」

「……」


その後、すぐに飛鷹さんは「にしてもキスが下手ねぇ」と呟き、ニヤリと笑った。童顔なのに、妖しい笑みは大人顔負けだ。


（でも、今……）


はぐらかされたと感じるのは、気のせいかな？