泣く私に見向きもせず、咲人さんが開けたドア。

その奥に見えたのは、先の見えない、どこまでも真っ暗な世界だった――


𓏲𓎨𓈒𓂂◌


「おーい」
「……」

「おいおーい」
「……」

「んだよ、またかよ。めんどくせーな」


チッという舌打ちをかまし、自らを拘束具から解放した飛鷹さん。さっき咲人さんが買って来た袋に手を突っ込み、お腹の虫を鳴らしながら物色する。


「お、唐揚げあんじゃん。ラッキー」

(はぁ、咲人さん……)


一瞬にして頂点に登った私の幸せは、一瞬にして氷点下まで下がってしまった。

咲人さんのギャップや愛に悩殺され続け、きっと気を抜いていた。油断していた。だから取り返しのつかないダメージをもらっちゃった。