「無理です……咲人さんを諦められません!」

「それじゃ困る。いっそ俺を知らなかった頃に戻ったら?その方が俺も都合いいし」

(都合がいい、なんて……っ)


私から溢れたキュンが、愛が――咲人さんにとって迷惑だったなんて。悲しい。虚しい。切なくて、いたたまれない。


(私、今まで勘違いしてた)


私が咲人さんに大好きって言うと、彼は決まって「はいはい」で済ませた。私の愛をもらい飽きたと言わんばかりに、いつも軽くあしらった。

だけど、それでも良かった。彼の本音は違う、本気で私を否定していないって思っていたから。

でも違った。

そんなのお門違いだった。
おこがましい勘違いだった。
私の……悲しい自惚れだった。


『今日限りで、俺を好きでいるのやめてくれない?』


咲人さん、咲人さん。

ついに私、捨てネコになっちゃいますか?