だって咲人さんが、私を見てるから。いつもみたいに軽くあしらうことなく、むしろ一度も逸らさず見続けているから。

まるで「これから大事なことを言う」って言わんばかりの、真剣な目をしているから――


「あのさ」

「は、はい……っ」


思わず力の入った私の右肩に、咲人さんは自分のオデコを乗せる。

そして――


「ミミの〝そういうの〟困るからさ。

今日限りで、俺を好きでいるのやめてくれない?」


嘲笑しながら、残酷な命令を私に下した。