シャワーの水が、どんどん流れる。排水溝に吸い込まれる。激しい水流は時おり波うちぶつかるも、何事も無かったように静かに全体へ溶けていく。
まるで抗えないと言わんばかりに。
こうするしかないんだと観念するように――
その光景を、意味もなくただ眺めた。眺め続けた。
何も考えたくなくて。大好きな咲人さんを理解したいのに、できないのが悔しくて、悲しくて……気づけば、シャワーではない冷たい物が頬を流れていた。
「咲人さん……」
パタリ、と涙が落ちた時。待ってましたと言わんばかりに、飛鷹さんが口を開く。
「ねぇミミちゃん。
本当はどっちが囚われているのか、
この体に教えてやるよ」
「――」
シャワーの音は、もう聞こえない。
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