ジリジリと近くなる、飛鷹さんの顔。整ってるだけあって、その迫力はかなりのもの。身動きひとつ、瞬きひとつさえ、することを阻まれる。

一瞬でも視線をそらせない。この人は、コンマ数秒の内に何かしでかしそうだから。


「い、言いません。私が懐くのは咲人さんだけです!」

「ごーじょーだなぁ。じゃあ、そんなミミちゃんに問題です。ここに囚われているのは誰でしょー?」

「え……」


まるで簡単な問題です、と言わんばかりに。飛鷹さんはニマニマと楽しそうな顔。対して私は、こんがらがる頭を何とか整理しようと死にものぐるい。


「飛鷹さんは拘束されてます、囚われています……これが答えですよね?」

「ふーん。〝俺が囚われてる〟ってのが答え?」

「はい」

「俺〝だけ〟が囚われてる?」

「はい……え?」


ガシャンと。飛鷹さんが揺れ、拘束具が大きな音を立てた。もちろん彼に密着している私の体も、同じ動きで大きく揺れる。

不安定で落ちそうになるも、飛鷹さんが足を上手く使ってバランスをとる。その間、二人の肌は驚くほど密着した。