一か月前。
学校から帰っている途中。

不良に絡まれた私こと白雪(しらゆき)まほろは、偶然に通りかかった大鳳(おおとり)咲人(さきと)さんに助けてもらった。


『この子に、手ぇ出さないでね』


見た目二十歳を越えていそうな、大人な佇まい。

あの時は、ピシッとしたスーツを着ていて、栗毛の髪がふんわり風になびいて。端正な顔も夕日に負けないくらい輝いていて、まるで白馬の王子様だった。


『ちょっと待ってて』


なんて言った後。人目につく大通りに私を残した後。咲人さんは、不良たちを路地裏に連れて行った。

まさか殴ったりして制裁を加えているとか……!?なんて思ったけど。チラリと見たのは、真剣な表情で話している咲人さんと不良たちの姿。

――少しの会話を交えた後。

不良は四散し、「待ってて」と私に言った咲人さんは、約束通り私の元へ戻ってきた。