「……冷えただけです」


飛鷹さんが、私が伸ばした手を掴む。あまりに急な動きで、何も反応できなかった。拘束具をつけておいて、本当に良かった……。

かと思えば。

パシッと足払いされ、思わず体勢を崩す。着地したのは、なんと飛鷹さんの腕の中。コアラの親子みたいに、向かい合って抱き合う。


「すっ、すみません。退けるので手を離してください」

「はいよー、なんて言うと思ったか?」

「え」


見上げると、頭上にあったのは……なんともニヒルな笑み。極悪人の顔。


「ミミちゃんさぁ、かわいそーだから教えてやるよ」

「な、なにをですか?ひゃあ!?」


ガシャンと音がしたかと思えば、途端に体が締め付けられた。窮屈……っていうか、狭い!

この状況、見なくても感覚で分かる。飛鷹さんが拘束具ごと、私を抱きしめたんだ。囲いこんだんだ。「逃がさない」とでも言うように。


「ハハ。〝ひゃあ〟じゃなくて、〝みゃあ〟でしょ?アンタは猫なんだから」