元気を装ってるけど、蓋を開ければ肝心な心は空っぽで。「好きの気持ち」を入れても入れても、底が抜けてるから貯まらない。

咲人さんからキスされても。
咲人さんの隣にいることを許されても。

それでも、肝心な「咲人さんの心」が手に入らないのだから。募るのは虚無感ばかり。

好きになって欲しい。
大事にして欲しい。
愛して欲しい。

全部ぜんぶ欲しい。
ほしいんです。

咲人さん、あなたから――


「……嫌です」

「は?」

「例え咲人さんが私にオチてくれなくても、それでもイイ。私が咲人さんを大好きだから。咲人さんと一緒にいる私が、私は好きだから」

「……」


聞こえるのは、荒々しく流れるシャワー音。水は矢継ぎ早に床へ落ち、列を成して排水溝へ流れてく。