『わ、わかりましたよ……。
ただし条件があります!』


何かあってからでは遅いから〝ないよりはマシ〟の拘束具を、男の両手と両足にそれぞれつけた。うん、これなら安心!


『なるほどなるほど。つまり腰に巻いたタオルが落ちたら、ミミちゃんが巻き直してくれるわけだ?』

『そこはお得意の縄抜けで何とかしてください!』


という、すったもんだを経て。
現在、無心で男の髪を洗っている。


「美容院に来たみてぇ。きもちぃ〜」

「じゃあお金を貰わないといけないですね」

「けちぃ〜」


本当に気持ちがいいらしい。目を細めてウットリした口調で喋る男は、リラックスタイムを満喫中。

対して私は、絶賛・目が泳ぎ中。リラックスなんて二の次、三の次。


(無駄に引き締まった体で困るんですけど……)


だって咲人さんも体が引き締まってるからさ。私の脳が勝手に、男を「咲人さん」に置き換えてしまう。