監視なら、ただドアを開けて見張っていればいいんだけど。この人ったら何を考えているのか、
『試しに肩の関節ハズしてみるか。今後の参考にしときてーし』
『え!?ちょっと待っ、』
『あ?』
あ?っと返事した時。
男の両肩は、既に関節から外れていた。
しかも、
『いつもは簡単に戻るけど、今日に限って戻んねー。あ、腕ダメになったから洗ってくんね?』
なんて。両腕をブラーンと下げ、十六歳の乙女にお願いしてきた。しかも既にパンツ以外は脱いでいる、なんて。どういう早業。
『嫌ですよ……咲人さんならまだしも、得体の知れない男性を洗うなんて』
『え〜辛辣ぅ。一週間後に死ぬ奴に、つれない態度ー』
(ぐっ……)
それを言われると――と痛いところを突かれ唇を噛んだ一瞬の隙を、男は見逃さなかった。棚に積まれているタオルを一枚とり、ヒラリと腰に回す。
『っつーわけで。
俺を洗ってくれるよな?優しいミミちゃん』
満面の笑みで私に〝おいでおいで〟する男の怪しさ、満点。あぁ、これが咲人さんだったら……!