「ふーん、ここを切ればいいのか」


いつかのために、人の仕留め方を研究する咲人さん。私の血管を、まるで三つ編みする時のように真剣に眺めている。勉強熱心、且つ真剣な姿、好き。


「なにボーッとしてんの。終わったから早く俺の前からどいて。モタモタしてたら、本当にやっちゃうから」


ぶっきらぼうだけど私を心配してくれるの、好き。きちんと言動の間に一線ひいて、私を傷つけないところ、好き。


「あ、ミミ。少しかがむ」

「こう?……ん!」

「ねぇ。キスいつ上手くなんの」


強引なところ、好き。言葉で責める割に、私をトロトロに溶かしてくれるところ、好き。

要するに、私は――


「今日も、大好きです……」


聞き慣れた言葉を聞いた咲人さん。
見下すように私を見たかと思えば、


「ほんと、ミミはどうしようもないね」


呆れた声でため息をつく。その退屈そうな視線が、雰囲気が――私の中の好きを膨らませていく。


(不思議。毎日見ているのに、まったく見飽きない。まるで初めて見るかのように、いつも目が離せない)


咲人さん。
今日もあなたが大好きです。