「私、紫吹に〝大鳳になります!〟って言っちゃったんですよ!いや、大見栄を切った私が悪いですが……。
で、でもこれで咲人さんに見向きもされなかったら、私ただのピエロです!」
「ふーん」
「さ、咲人さん~っ」
雪光さんと飛鷹さんが完璧に姿を消した後。警官が、私たちを目指してやって来る。
咲人さんは素直に応じるらしい。私を置いて、警官に向かって前進した。
……だけど、少し進んで立ち止まる。
その際、薄い唇がわずかに動いた。
「〝まだ〟結婚するって言ってない」
「へ?」
「でもミミを貰う気でいるのは、確か」
「!」
振り返った咲人さんの顔にあったのは、ちょっと気弱そうなはにかんだ顔。
「どう?これでピエロじゃなくなった?」