「あの時〝私がいたら邪魔だから、どっかいけ〟って言いたかったんだろうなぁ」


それでも、無理に無理を言って同居している。咲人さんは私を一秒でも早く追い出すために「あの二つに約束」をとりつけたけど……。

ふふ、咲人さん甘いですよ。
だって、たった二つですよ?
私、それくらいの約束なら守れます!


「あー、早く帰ってこないかな。咲人さん」


いくら冷たい態度とられたって。
いくら突っぱねられたって。

私の心が、全力で咲人さんを追いかけるのだから仕方ない。そりゃ危ない人だって認識はあるけど……私は、私を信じる。

私の心が咲人さんを追い続ける限り、私はずっと中毒者でいる。


「好きになってごめんなさい、咲人さん……へへ、なーんて」


元の部屋に戻り、衣装ケースの中から咲人さんの服を取り出す。そこに顔を突っ伏して、咲人さんの匂いをしばらく堪能した。


「はぁ、癒される~」