「ミミちゃんの本気を見せられたらさ、そりゃ誰だって揺らぐよ。だってネコの名前つけられて喜ぶんだぜ?」
「それ私、褒められてますか?」
「あったり前だろ。あーあ、俺も誰かに揺らがされてーなぁ」
飛鷹さんが頭の後ろで両手を組んだ時。平和が訪れたこの場に、物々しい雰囲気が漂う。
「大鳳咲人だな?手を上げろ、警察だ」
「え?」
「やべ」
「……はぁ」
私たちの周りを、ぐるりと囲む警官たち。
紫吹が去って、どうやら気が抜けていたらしい。咲人さんも飛鷹さんも「包囲されてたのか」と、今さら脅威に気付く。
「大人しく人質を解放しろ」
「人質って、もしかして私⁉」
咲人さんが「だろうね」と頷く。
ありもしない事実に、頭は真っ白。
「道端で女の子が攫われたと通報があった。お前たちが犯人だな?」
「……えー…………」
落胆した飛鷹さん。顔に「面倒くさい」と書いてある。
私から事情を説明しないと場がおさまりそうにないため、手を挙げて主張する。