「でも咲人さん、私は怒っているんですよ」
「……なんで」
「咲人さんの価値を〝咲人さん自身が低くした事に〟です。いつ私が平和な世界でのほほんと生きたいと言いましたか?咲人さんのいない世界で、私が笑えるとでも?」
「……飛鷹がいるじゃん」
自分で言ったものの気に入らないのか、咲人さんのムスッとした顔。まるで親に怒られている子供みたい。
「私が〝咲人さん中毒者〟だって、咲人さんも知ってるはずです。私の愛をなめないでください。私の一途は、ハンパないんです」
「……」
目をパチくりさせた咲人さんが「俺の中毒者?」と繰り返す。
そんな咲人さんの肩を叩いたのは、飛鷹さん。まるで「諦めろ」と言わんばかりだ。
「俺は痛いほど知ってるぜ。引いても押し倒しても、この子ビクともしねぇの。俺に迫られて落ちなかったの、ミミちゃんくらいだわ」
「飛鷹さん、恋愛に苦労してこなかったんですね」
「ってか俺、恋に本気になった事ないし」
「だから羨ましいわ」と、続けて飛鷹さん。