顔を青くした飛鷹さんを引っ張り、車から離れる。運転手がいなくなったものの、雪光さんは車から降りない。むしろ私に手を振り、耳にスマホをあてた。
電話をかけるらしいと飛鷹さんも思ったのか。前へ進むよう、私の背中をポンと叩く。
「ボスのことだ。どうせ俺かアンタにGPSつけてるから、ソレ見て追いかけて来るって。それより急ぐぞ」
「はい……!」
二人して慎重に林へ入る。獣道かと思えば、きちんと塗装されていて歩きやすい。
少し歩いたところで、飛鷹さんは塗装から外れた場所を指さす。
そこには――
「見つけたぞ、紫吹」
数人の部下を引き連れた紫吹。
その人を真っ向から睨む、咲人さんがいた。