「好意の真意は、咲人本人から聞きなさい。まだ意地を張っているようだけどね」
「はい……っ」
咲人さんの答えを聞いていないのに、もう胸がいっぱいで……とめどなく涙が溢れる。
どんどん止まらないソレを見て、雪光さんが「脱水になるよ」と笑いながら眉を下げた。
(その言葉、どこかで……)
聞き覚えのある言葉に、記憶の扉が開く。
『ミミ、そろそろ水を飲んで』
咲人さんと過ごした甘い夜。ずっと泣いていた私に、キスを中断してまで咲人さんが言ってくれた言葉。
(もしかして……いつかの咲人さんも、雪光さんに言われた事があるのかな。それを覚えていて、私に言ってくれたのかも。
そう言えば「Goodboy」も、いつか飛鷹さんが言っていた。雪光さんの口癖が移ったのかな?)
裏社会の事は分からないけど、同じ言葉を使うって……まるで家族だ。私も家族といた時は、無意識に言葉を共有した事がある。